FAPS    Side-Press スピーカースタンド お客様レポート

   千葉県にお住まいのK様 (自作重量級小型スピーカー)

今回のお客様は、公私において私の古くからの友人でもあるプラクトサウンドシステムの岡本社長のご紹介です。

千葉にお住まいのK様は、幅230、奥行き350、高さ360mm、重量25kg超の自作スピーカーをお使いです。
自作の木製の台型の櫓に3点のピンポイント指示でセットしていましたが、
大きな地震の場合は簡単に落下してしまう事が心配ごとでした。

新たなスピーカースタンドに求められたのは、耐震性はもとより、ピンポイント支持と仰角が付けられる点でした。
ピンポイント式を採用して、いろいろと苦労しているインシュレーターの呪縛から開放されたいとのことでした。

HPのお客様レポートの他の方々の御意見を参考にしたものの、
相性と収まり具合等について迷いがあるとのことでご試聴なされ、
試聴結果に満足され導入くださいました。

少々長くなりますが、今回の感想文を公開するに際してのメールやりとりも紹介させていただきます。

志賀様

大変遅くなりました。漸くこんなもんかな?と言う所まで来ましたので、遅まきながら御報告を致します。

御社の愛用者の声を拝見しますと、皆様ハイエンドの世界にお住まいでして、
結果報告は躊躇うものがありましたが、試聴購入のルールが有りますので、
こんな世界もあるか、と言う事で一応御報告と致します。

当方のオーディオ遊び暦は40年超、道具建ては全て自作です。

金田式を基本にして抵抗をDALEや、スフェルニールに一部変更したメインアンプですが、
電源はドライブ段は純正金田式、パワー段はチョークインプット式に変更。

最近全システムに導入した第二世代SBD化に伴いケミコンはメインアンプのみでも40万μまで増加してしまいました。
プリはラ技誌の石井義晴氏発表スーパーシャント式電源を、上記と同じくCRを一部変更です。
電解コンデンサーは生物ですから、プリ、メイン共に数年毎に載せ換えて来ました。

肝心のSPですが、同じくラ技誌の高橋和正氏や別府氏が発表されたリニアーフェイズ式を参考にして、
Wo、Tw各ユニットはスキャンスピーク製としました。
これに砲金製補助重錘として15kg+5kgを各ユニットに背負わせて有ります。

箱の部材はアピトン合板で、箱内部の吸音材は無く、仕切り板には気流抵抗用にポートを設け、
内面全体に薄手のフェルトをゴム系ボンドでベタ張したのみです。
外面は後板と底面を除いた4面に、ゴム系ボンドにてニードルパンチをベタ張してあります。

ネットワークは単純にLC各1個で構成されていますので、之を入れ替えると敏感に反応します。
LC類のブランドもベテランの組込例を参考に実験して、最後は好みで決定しました。

当初、バスレフか密閉式かで迷いましたが、ポート共振以下ををスッパリ諦めたバスレフ式よりも
ダラダラ下がりでは有っても、超低域が欲しいと、、未練な決断は今でも後悔はしておりません。
都合20kgの錘の威力は絶大で、低域はWoのF0まで、、高橋氏の弁は誇張では無かった。

これらを接続するケーブルは鳥取県のマルチョウ・エンジニアリングのラダー型ケーブルです。
ケーブル類の絶縁物の弊害を除く為に、徹底追及したにも関わらず廉価なケーブルですが、
その音質は全くの無個性(突出した演出をしないという意味で)で、
御社のSPスタンドに相通ずる設計思想と後日に判明しました。

このHPではノウハウを公開しておりますので、
之を参考にして電源ケーブルは自作に入れ替えましたが、某有名メーカーの中級品があっさりお蔵入りになりました。

SP台はJBL2231A+200Lバスレフ+角型ストレートフォーン使用の3way時代は、
コンクリート製ドブ板から始まり、ブロック(鉄、真鍮、銅厚板、ステン、カーボン)を使って遊びました。
小型Woのメリットを自覚し、SPも小型2w式になってからは、ステンレスワイアーで宙吊り式、コロ軸式と変遷し、

その後に米松無垢材で櫓を組み、支持点には30mm厚の銅ブロックを埋め込み、
真鍮ピンで25kgを受けた、ピン3点支持が一番長く現在に至っておりました。

ネットで第二世代電源の効果の大きさを知り、プラクトサウンド様より指導を受け、
全面的に換装した時の、空間情報量の増加は圧倒的で、前記ラダーケーブル採用と同じ感動を受けました。
頭に乗ってCDPのクロック換装にまで手を出して、、ここでは大火傷を負いましたが、、
しかし禁断のCDP改造は矢張り大きな収穫があり、これで完全自作に一歩近づけたと、、



前置きが長くなりましたが、御社のSPスタンドの採用は大正解!

当初、現用と比較してSPの設置位置が高くなる事や重量やSPの大きさの面で多少の不安が有りましたが、
プラクトさんの納得出切る説明に押されて試聴申込、、

愛用者の欄では低域が薄くなるとも記入が有りましたが、これ等は全て無用な心配と解りました。

FAPS スピーカースタンド
(SP後方にあるのが、これまで使用してきた自作スタンド)

私の場合、3点ピン支持の経験から、側板の支持点を後板直近にして、出切るだけ箱を自由にさせる事に配慮しました。
支持点は振動の腹を抑えないように高さの1/3にしました。
底板支持部は箱の奥行きが長いために、理想とする最前部ユニット下とは行きませんでしたが、、
底板との接触部分で試行して見ました。

M8ステンボルト*50mmを購入して、先端をピン状に細工してから、純正支持ボルトと換えて見ました、、
これがアウトでして、低域が全く抜けてしまいました。

次は同じM8ステンボルト先端に袋ナットきつくかまして、この袋ナットを介して荷重を受けて見ました。
袋ナットの頂点程の接触面積が丁度良いのかどうか?他の面積での追試はして居りませんが、
純正支持ボルトよりは低域の解像度と量感のバランスが良いと思われましたので、現在はこれに落ち着いております。

何れもSPスタンドと支持ボルトはWナットで緊締することが肝要です。
ここまでやってほぼ満足ですが、未だ完璧とは言えず、何か胸につっかえる感が消えません。

足元を見ると、黒檀のブロックが、、移動調整に楽な様にと同時購入した物ですが、、
我が悪戯部屋は居間でも客間でも有りませんし、3重に張ったフローリングの傷は全く気になりませんので、(既に傷だらけです!)
之を外して、スタンドのピンをフローリングに体重を乗せて思い切りグサッと挿しましたら、、
皆様の言う「深く沈み込む低域が」出現しました。

これをやるまでは「米松無垢材で櫓組+銅ブロック」と大差は無いか?
メリットはスペースファクターが良いだけか?とあらぬ事を考えたりして、、

量を求めるのは比較的簡単です。ドスの効いたとか、突き抜けるとか、、
量の変化は判り易いですし、質感の向上は難易度が高い気がします。経験が大きく影響しますので。

結局は味付けの濃い物を排除し、取敢えずは素の状態で全体を構築してから、
残りは自分の好みに調整して行けば良いのだと、、

私の心の師匠、別府氏が言っておりました。
「私のアンプやSPは、決してハッとしない!眼も覚めない!ましてや鱗は落ちない」名言と思っています。

結論です。

このSPスタンドは大正解です。

正しく、何も足さない!何も引かない! 
ここまでやると、老化気味の私の耳にも、中間のボルト穴に材質の異なるボルトナット噛まし込んで、
共振点周波数をチョット変える等の遊びの楽しみが出来ました。

最初にラダーケーブルと出会い、次にプラクト様で第二世代SBDを知り、CDP改造にまで行き着き、
プラクト様のリンクで御社のSPスタンドに巡り逢えたのは実に幸運でした!

40年もやっていて、一体何をして来たのか、、
これらの出来事は、たったの半年間の事件ですから、、この出会いが無かったら、、
いずれにしても至福の時を与えて下さった、御社に感謝です!


【 ご参考 】 : K様の感想に対する私の感想メールです。

非常に中身の濃い、忌憚のないご感想、ありがとうございました。
40年を超える大ベテランのK様に感想を求めてしまい赤面する思いです。失礼をお許しください。

自分の音は自分で作り上げるという姿勢は、真の意味でハイエンドというよりも究極の世界にお住まいになっていると感じました。

私自身は、自作派ではありませんが、古くからの友人である岡本氏や私のお客様達が作ったシンプルでありながら
研ぎ澄まされた音を出す機材の優秀さは重々承知し、使わせてもらってております。

私の使っているアンプは友人製作のもので基盤は、ステレオで名刺一枚のサイズです。
ほとんど部品がなく重さのほとんどをトランスが占める代物ですが、輸入高級アンプでは
聞くことができない癖のないクリアな音を出しています。

余談ですが、この友人は、元々はプラクトさんのお客様、うちのスタンドをお使いになるようになってから
何度か試聴室に遊びに来て、夜通しオーディオ談義をするうちに友人になってしまいました。

K様の感想の結論 「大正解です。正しく、何も足さない!何も引かない! 」
まさにその通りです。スタンドがでしゃばってはいけないのです。

私の作るスタンドは、車のサスペンションに似ています。

車の速さは、エンジンの性能やミッションの出来で決まり、
走行性能の大半はタイヤの性能で決まりますが、
エンジンやタイヤの良さを生かすも殺すも、コーナリングや安定性もサスペンションのでき次第です。

無闇に重く頑丈なサスは、機敏な動きが取れないばかりか、車のバネ下荷重を大きくして
車としての総合性能を著しく低下させます。

タイヤをスピーカーにたとえれば、サスペンションは、スタンドということになります。
レーシングカーのサスは、パイプをラダー状に組み合わせたものがほとんどです。
軽く細くして空気抵抗を減らしつつ、極めて高い剛性を確保しています。

当社のスタンドも同様に限界まで細く軽くして鳴りを最小限に抑え、かつ他社が嫌がる溶接構造を採用して
高い剛性を確保して、何も余計な仕事をしないスタンドを実現しました。

世の中のスタンドのほとんどがボルト組み立て式になっていますが、その理由は保管スペースの削減が第一、
次に輸送コストの削減とスタンド部材の鉛直・平行の確保のためです。
機械加工品をネジで止めるだけであれば均一な形状のスタンドが出来ますからね。

スタンド部材を一体化させ、剛性を高めるのは溶接が最適なのですが、
溶接は、熱収縮の影響で変形や寸法変動が発生します。
この対策には、専用の製作冶具をつくり、熟練溶接工が変形をモニターしながら溶接するという
手間のかかる作業を行うしかありません。
結果的に全品手作りとなるため、数も稼げずコストも高くなりますが、
これを残すことも使命と考え細々とやっております。

このような結果が、K様が感じられた音になって出てくれたものと思っております。
限界まで絞り上げてありますから、ネジ素材やインシュ等にも非常に敏感に反応いたします。
扱いにくくもあるでしょうが、それを楽しみと感じられるK様にお使いになっていただけ嬉しいです。

とりとめのないことを長々と書いてしまい失礼いたしました。
今回頂いたご感想ですが、差し支えなければHP上で他のお客様にも紹介させていただきたいと思います。

高いものを買って組み合わせるだけでハイエンドを鼓舞する一部のオーディオ人達に一石を投じたいとも思います。
いかがでしょうか。よろしくお願い致します。

この度は、弊社のスタンドを導入くださり、ご丁寧な感想文まで頂戴し、本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

FAPS 志賀

(K様からの返信メールの一部です。)


<高いものを買って組み合わせるだけでハイエンドを鼓舞する一部のオーディオ人達に一石を投じたいとも思います>

これにも感銘を受けました。自分のセンスが最高で、これを理解できない者はペケ的な物言いが横行しております。
しかし中には真の本物もあります。
それには眉に唾をたっぷりと付けながらも一度は試してみる、、これが重要と考えます。

神がかり的な物でも、効果が有ればそれで良しとしております。 
余程の自信が無ければ試聴貸出は出来ません!
私はその部分にも御社の心意気を感じます。
生意気を言って申し訳ありません。

試聴品のお客様レポートは、原則非公開でお願いしている関係で、
ご紹介させていただいているものは、実はほんの一部です。

新たなスピーカーへの適用事例や、是非皆様にも読んでいただきたいと思ったものは、
今回のようにお客様にお願いし、了解のいただけたもののみを紹介しております。

感想文をお客様から頂いていつも思うのは、驚きと感謝です。
大変な時間をさいてお書きくださっているのが良くわかります。
その勢いに誘われ、私自身が熱く語ってしまうこともあります。今回のように。

自分だったら、こんな立派な感想文を書くのだろうか・・・?
不謹慎で申し訳ありませんが、そのように思ってしまったこともありました。
沢山の感想を読むにつれ、お客様をそうさせているのは、
このスピーカースタンド自体が出す音の驚きの大きさと喜びのなせる業
と信じられるようになりました。

たかがスピーカースタンドだったはずのものが・・・

そんな意外性と発見をこれからも追いかけたいと思います。

FAPS 志賀