FAPS   Side-Press Mini 特注スピーカースタンド お客様レポート     

B&W N805 + Side-Press Miniスタンド


今回のレポートは、都内にお住まいのS様から頂いたものです。
お使いのスピーカーは、B&Wのノーチラス805(N805)です。

このスピーカーは、標準Side-Pressスタンドで最も良く使われているものの一つです。
S様は、設置スペースの関係から、他社の金属製ベースを使用してラック上に設置しておられました。

さらなる音質向上を図りたいとのことでMiniスタンドに着目され、ご相談くださいました。

無理をしてでも標準型を! とお勧めしましたが、初志貫徹ということでSide-Press Miniを特注をなさいました。
特注品の寸法等は、当方に任していただいたため

標準Side-Pressスタンドを上部をそのままミニスタンド化したものを納品させていただきました。

以下、その経緯も含め、S様から頂いた納入当日のファーストインプレッションをご紹介させていただきます。

★ セカンドレポートを追加しました 

☆ 3’rdレポートを追加しました ☆

S様からは、ファーストインプレッションに引き続き、約1か月使い込んでからのセカンドレポートも頂戴いたしました。
本レポートに追加しましたので、合わせて御覧になってください。



最初にS様からいただいたお問い合わせメールの抜粋です。 
 (黒文字部分がS様の文章です。)

B&W805を使用中。
浮気癖はなくじっくり調整し使い込むタイプで旧型のまま10年近くになります。
スペース制約でフロアタイプやトールボーイ型は始めから選択肢にありません。
従ってMini一直線です。

SPは現在、LPをぎっしり入れたヤマハ製の木製家具の上に直置きしています。この配置は変えることはできません。
現在のTAOCのベースは300mmの高さで、
視聴ポジションとの関係でやや高めと感じていますが高さ調整ができません。
音に特に不満があるわけではないのですが、定位感と空間描写に自信がありません。
多少の低域不足は運命のようなものとあきらめています。

以上の状況ですが、セッティングやベース等のアクセサリ類でアドバイスがあればご教示ください。


S様のお問い合わせメールに対するFAPS回答



Side−Press Miniスピーカースタンドに一目惚れとのこと、とても嬉しいです。

805には、標準のSide-Pressスタンドが絶対にお勧めなのですが、場所がないとのことなので仕方ありませんね。

ミニスタンドですが、残念ながら805は、幅が240mm近くあるため、標準品および既定の特注サイズでは使用できません。
大きさ的には、下記ページの木製支柱に取り付けたスタンド(幅340mm)と同等なものになります。
http://www.family-arts.com/faps_labo/wood_sidepress.htm

幅が広いので、スピーカー取り付け時に多少各支柱がしなってしまいますが、上記の経験から取り付けは可能です。
問題は、ラック上に幅340mmのスタンドを2台置く余裕があるかどうかということです。
ご確認なさってください。

セッティングについては、可能な限りスピーカー周辺にものを置かず、壁からもできるだけ離すことがポイントです。
足回りは、付属の黒檀キューベースを使用すれば大丈夫です。

現状の写真をお送りいただければ、より具体的なアドバイスをすることができます。



S様の2回目のお問い合わせ(写真の送付をいただきました。)

Miniは標準から脚部を縮めたものと勘違いしていました。
全体に小型化されているのですね。それでも特注サイズとすることで使用可能のこと。
是非、使用してみたいと思います。

念のために現状の写真を送ります。
「可能な限りスピーカー周辺にものを置かず、壁からもできるだけ離す」という理想からはほど遠い、
お恥ずかしい現実が見えてしまいます。

真横に反射板のような薄型TVのパネルディスプレイがあるなど言語道断ですが、適当にふとん(?)をかぶせて聴いてます。
アンプは、自作金田式DCアンプです。最近、パワーアンプを半導体式から初段真空管のハイブリッドに変更しました。

写真1が全体像。今は目一杯幅をとってます。

SP間隔が2mで、これで視聴位置と正三角形となっています。土台のLP収納棚は奥行きが470mmあります。

FAPS スピーカースタンド 写真1

写真2、3(省略)は、左SP周辺です。下に400mmだけ引きだしたメジャーを置いてます。
スタンドが置けると判断してよろしいでしょうか。

FAPS スピーカースタンド 写真4

写真4は、右SP周辺です。
左右ともにTAOCのベース(高さ200mm)に置いてます。
間に同社のインシュレーターを置いたことがありますが、音が鈍るのでいまは外して直置きしています。
SP左はサブシステム(BOSE AM5-V)のウーファーです。これもメインを聴くときは布で覆っています。

置く余裕ありと判断してよろしいでしょうか。
PS:
参考のページをよく眺めてみて、Side-Pressの音質向上のメカニズムが少しわかった気がしてきました。今から非常に楽しみです。

   


S様から頂いた複数の写真を見たFAPS感想です。

写真は大変参考になります。参考までに幾つか感じたことを書かせていただきます。

特注の大型ミニスタンドの置き場所としては、十分なスペースがあることはわかりました。
ミニスタンドを導入することで、現状より抜けが良く濁りのない音になるのは間違いないでしょう。

現在のスピーカー間隔は、広すぎますね。もっと狭くした方が逆に音場感が増すでしょう。

お送りいただいた写真を見て思ったことは、
今の配置は絶対と仰るS様には大変に失礼、かつ余計なお世話と思いますが・・・・

・ああ・・勿体ない! というのが最初の感想でした。

・これだけの部屋・機材なら絶対に標準Side-Pressを使った方が良いと思います。
 今までの音は何だったのだろう! というレベルの素晴らしい音になります。
 805の本当の実力を体感されると思います。

・他の機材はそのままで、標準Side-PressをLPラックの前にセットするだけでも十分です。

 スピーカー間隔は、1.5m程度、現在よりも一回り小さな正三角形のリスニングエリアになりますが、
 音場空間は逆に大きく広がります。

・標準スタンドの見た目の背の高さが気になるかと思いますが、実際に音を出せばまったく気にならないというか
 等身大の表現に驚かれると思います。

(省略)

しつこく標準Side-Pressスタンドをお勧めするのは、ミニとは比較にならない素晴らしい音が得られるのです。

ミニは、スタンドを設置する場所のない方のために開発したものですが、
設置面から近いために反射波の影響から逃げられない部分があり、思っている以上に使いこなしが難しいのです。



写真に関するFAPS感想を読まれたS様の返信です。
志賀様:

こんなに早々と、しかも、貴重なアドバイスをありがとうございます。

ご指摘の点は、いちいち胸にすとんと落ちるものばかりです。
いつかは、レイアウトを大幅に変えてフロアにSPを立ち上げたいという気持ちは持っています。
その場合はSPそのものも検討の対象にするつもりです。しばらくは現状のレイアウトを前提につきつめていきたいと考えています。

(省略)

SP間隔の件は気になっていたところです。以前は、1.8mほどでした。

音場空間に不満で間隔の取り方には今でも悩んでます。
狭めようとすると右SPを中央側に寄せたいのですが、そうするとアンプの置き場に困ります。
右ラックにあるプリからのケーブルがぎりぎりなのです。

結局、右SPはいじらず、とりあえず左SPを拡げてみたというのが現状です。
長いケーブルにすればよいのですが、この辺は根性不足としか言いようがありません。
今度、間隔を狭めてみますので、また、その時ご報告いたします。

SPの高さですが、耳とSPユニットを合わせるか、805のちょんまげをやや見下ろすぐらいかと思っていたのですが、
あまり神経質にならなくてよいということでしょうか。上ぶり、下ぶり、についてはどう考えたらよろしいでしょうか。

いずれにせよ、頭が固いとあきれられそうですが、先ずはミニを発注いたします。
結局、みなさん同様に標準を追加ということになるかもしれません。

805はシリーズ唯一のブックシェルフです。
その本来のコンフィギュレーションを徹底的に極めてみたいという気持ちがどうしてもあるのです。
ミニがまだ805格クラスを載せたことがないのであればなおのこと挑戦させてください。
チューニングの過程については、また、質問がてらご報告をいたします。


特注MINIスタンド発送時のFAPS連絡事項


今回の特注は、今までになく幅の広いものであったため、
弊社のスタンドとして音質的に問題ないかを確認する必要があると考え、
特注品と同仕様のものを余計に1セット製作いたしました。

検証用セットを使用し、セッティング方法の検証も兼ね、実際にN805を使用してセッティングを行い、音出しも行いました。
標準セッティングではなく、高さを稼ぐために延長ナットを使ったセッティングです。
この延長ナットセットも同封いたしますのでお使いになってください。

結果を先に言わせてもらえば、卓上スタンドとしても、805用の小型スタンドとしても
特上のサウンドが出ることを確認いたしました。

正直言って、予想外に良い音が出たという印象です。

音の印象については、今回は、先入観念を与えない方が良いと思い、省略させていただきます。

ホームページにもとりあえず概要写真等を追加させていただきました。

下記は、今回のセッティング中に撮影した写真を使って作成したセッティングマニュアルです。
スタンドに同封しておきますのでご利用ください。いずれHP上でも正式に公開する予定です。
http://www.family-arts.com/puresound/manual_mini/manual_bw805.htm



S様から頂いたファーストインプレッションです。


ミニ受領いたしました。さっそく、組み上げて試聴してみました。
その効果は期待以上で感激しております。ありがとうございました。

以下に第一印象をご報告いたします。

****************************************
サイドプレスミニをさっそく試してみました。

最初の感動は、何といっても低音です。

かなわぬ夢とあきらめていたホンモノの低音がやってきた、ということです。
リビングの小型スピーカーでここまでの低音が出るとは…。驚嘆しました。

また、B&W N805の潜在能力にも感服しました。
実は、店主殿がミニよりも標準型を強くお薦めいただいたのを押し切ってのミニ導入でしたので、
これほどとは思っていませんでした。

改善したのは低音だけではありません。
楽器が活き活きと歌うようになりました。

そして、すばらしい音空間が出現しました。
かえって視聴位置がクリティカルでなくなったのが不思議です。

さて、まずは気を静めて、まず、そのファーストインプレッションをご報告します。
ミニ導入に至るまで、装置にかなりの手を加えたので、その経緯を簡単にふり返っておきます。

出発点は以下の装置でした。

スピーカー:B&W ノーチラス805
スピーカー台:TAOC(鋳鉄製)
アンプ:自作アンプ(金田式DCアンプ)
FAPS スピーカースタンド


◆ステップ1

スピーカーケーブルを従来のキンバーケーブルのブレイド型から単線へ変更しました。
マルチアンプ化でスピーカー直結するためには編み上げタイプは太すぎるからです。
バイワイヤをシングルに戻して比較試聴し、最もオーソドックスなベルデン8460としました。
この段階でも、わずかですが音の鮮度や解像度で一定の前進がありました。

◆ステップ2

スピーカーを分解し、ネットワークの配線を外しスピーカーユニットにワイヤを直づけし、ダクトから引きだすスタイルに改造。

アンプを2台、パッシブフィルターの6db/octの2チャンネルネットワークを新作しマルチ化しました。
システムが複雑化し多数の配線が交錯するのでアンプが不安定になり悩みと不安を抱えていますが、
いよいよマルチシステムの稼働開始です。

FAPS スピーカースタンド

◆ステップ3

ミニ導入の事前にご相談したところ、スピーカーの間隔を狭めた方がよいとのご指摘があり、
従来間隔が180cmあったものを150cmに狭めてみました。
実は、この段階で劇的に音が改善しました。

狭いほうが音の拡がりはあるという逆説的結果となり、音は両スピーカーの外にまで拡がり、定位も安定。
しかも焦点があったように個々の楽器の実在感と音の芯がしっかりしたのです。

FAPS スピーカースタンド

◆ステップ4

いよいよミニの導入です。
上記までの改変は当初から計画していたことなので、ミニの導入は最後にしました。
従って、ここまでの改変の手柄をミニは横取りできません。
ミニ導入の印象は、あくまで、ステップ3が比較対象となります。

FAPS スピーカースタンド


(試聴結果)


(参考)主な試聴ディスク
Mozart:Flute Concertほか 小澤征爾指揮水戸室内管弦楽団 SONYclassical
Mahler:DAS LIED VON DER ERDE バレンボイム指揮シカゴ交響楽団 ERATO
Strauss:Die Frau ohne Schatten-Fantasie ティーレマン指揮ウィーンフィル Deutsche Grammophon
Carpenters singles カーペンターズ A&M SACD
GONTITI recommends GONTITI ゴンチチ EPIC
GREEN SLEEVES 伊藤潮トリオ WOODY CREEK


◆まず驚いたのが低音であることは冒頭に述べた通りです。

ミニに換えたとたんに様変わりでした。
ジャズトリオのベースの音程や胴鳴りが明瞭でリアル。キックドラムが地をはうように伝わります。

シュトラウス「影のない女」冒頭のバスドラムもこれまではズシンと響く重低音だったのがドーンと突き上げてきます。
こういういかにも低音ということだけでなく、そのすごさは音程や微妙な表現がはっきりしたことです。
ベースが消え入るように余韻を残すときに胴の基音の響きが消えると共鳴の倍音が微かに響いていてグラデーションのような色香を残す。

マーラーの最終末のハープやチェロの微かな低音が実に効果的に聞こえてきます。

カーペンターズのイェスタデーワンスモアのドラムスの入りなどこれまで聞こえにくかった低音が低音そのものとして出てくると、
本当にこのスピーカーかと目を疑います。サブウーファー導入の迷いはなくなりました。

◆楽器がよく歌う。

モーツァルトなどは、各パートというより各個人が活き活きと体を揺り動かし弓を得意げに跳ね上げるような仕草まで見えてくるようです。

グリーンスリーブスのデュオは、これまでは音量を絞りきってBGMのように聴いていたのですが、
ピアノのスウィング感やバスの躍動感に思わず体を揺らしながら聞き始める始末です。

音像がくっきりとして音に力がありコントラストが明快。だから、はなれて聞いてもよく音が届き、しかも生きています。

◆音像や音空間が明瞭で豊かになりました。

これこそが一番追求していたことで、マルチ化で劇的に変わると期待していましたが、
実は飛躍が大きかったのはスピーカーの間隔を狭めたときと、ミニに換えたときです。

特に、ミニに換えたとたんに焦点がぴたりと合ったような感覚を覚えました。
リスニングポイントに神経質なところがなくなり、少々後ろに引いても音像が凝集しません。
というより場所を選ばなくなりました。
ワンポイント録音的なモーツァルトでは、左手のソファに座って聴いても両スピーカーの中心に指揮台があるように聞こえます。
つまり実際のホールで左手の席に座ったように聞こえるのです。
これは驚きでした。
ただし、ジャズやポピュラーなどのマルチ録音は左右どちらかに寄れば近いほうのスピーカーに音像が寄ってしまいます。
しかし、逆にこういう造ったステレオ録音は中央ポイントにいるとまるでヘッドフォンで聴いているようになって、
定位がぴたっと決まり左右からさまざまなパーツが花火のように炸裂します。
スピーカーではなかなか得られなかった感覚と面白さです。

◆音色がくっきりと明快になりました。

鮮度が増したというか、まるでいちど洗い上げたように色彩の明度があがりました。

チャネルバランス調整はやはり難しいのですが、ミニに換えると不思議なのですがバランスが取りやすくなりました。
ゴンチチがドンシャリに鳴ってびっくりしました。
どうもハイを上げすぎていたようです。
ギターやパーカッション、電子音で、ラジカセやミニコンポで効かせるように造ってあるところが、
音が明瞭になったことでよくわかるのです。その結果、バランスがかえってとりやすくなったというわけです。


(追記)
今の装置は完全ではありません。何よりもアンプが不安定で発振することがあるからです。
金田式DCアンプは、スピーカーを介してNFBをかけているので、アンプが熱的に安定する前はスピーカーケーブルで干渉を起こすようです。
ですから、上記はあくまでも第一印象です。
ミニのセッティングについてもまだまだ試行錯誤の調整は続きそうです。よろしくアドバイスをお願いします。



S様のファーストインプレッションに対するFAPS感想です。
早速のレポート、ファーストインプレと言うには、あまりに詳細なレポートに驚きました。
お忙しい中、写真まで含むレポートをお送り頂き、本当にありがとうございました。

結果については、思っていた通りというか、ほぼこちらと同じ結果が出ていますね。
安心・安堵いたしました。

今回は、私自身が愛用するN805用のミニということもあり、同じものを製作し、
相当慎重にヒヤリングを行いました(今も行っております)。

その結果、想像以上の改善が図られ、空間表現等が標準Side-Pressに肉薄し、
部分的には(低音の量感部分)では、標準Side-Pressを凌駕する部分があることも確認しておりました。
スピーカーは床面(設置面)に近いこともあり低音の反射音が増加し、それが良い方向に作用しているようです。

今後のチューニングで更に向上が図れると思いますが、
とりあえず現状で各種音源を再生し、課題を整理した方が良いと思います。

劇的な変化があった場合、誰でも(私も)嬉しさのあまり、様々な音源を聞きまくってしまいます。
これは当然のことであり、オーディオやっていて一番楽しい時間でもあります。

一通り聞き終えてから、もう一度聞き直してください。
ピアノソロ、ソプラノソロ、無伴奏バイオリン等の単音的なソースもお聞きになると良いと思います。

劇的な改善は、場合によっては過剰な効果の影響かも知れません。
良く聞こえるようになった部分が、実は音バランスがずれたためかも知れません。
その辺を全体的にバランスさせるのが、本当のチューニングです。

設置位置をほんの数cm動かすだけの変更が最終的な答えかも知れません。
聞き疲れせず、ごく普通に自然になっていると感じられる音を探してみてください。

最終的には、相当に広いリスニングエリアで良質の音が得られるはずです。
今までよりも相当に音量を上げても、うるささを感じずスケール感だけが増してくるような感じになります。
時間がかかりますが、ぜひ実行なさってください。

写真を見て感じたことが一つあります。
バスレフポートからのケーブル引き出しですが、もっときちんと固定した方が良いと思います。
スタンドの支柱にも接触しないようにした方が良いです。

バスレフポート部分は、想像以上に空気の流れが大きいため、ケーブルも微振動し、それが再生音に影響してきます。
できるならば、背面に穴をあけるか、既存のターミナル端子穴を使って後ろから出したいところですね。
これからも長期間使い込むことになると思われますので、検討なさってください。
 

約1か月使い込んでからのセカンドレポートも頂戴いたしましたのでご紹介させていただきます。

 
素晴らしいミニ効果に酔いしれた導入時ですが、いくつかの課題がありました。

(1)マルチシステムのアンプ不安定
(2)高域の強調感(ポップ系のドンシャリ感)
(3)押さえ位置高さのベストポジション


(1)は散々苦労したあげく、アンプとフィルター間の信号ケーブルのアースの取り方で解決しました。
ミニとは無関係の問題なので、省略します。


◆サイドプレスミニ再試聴開始

アンプ安定化対策後の再試聴開始時のセッティングです。導入当初と基本的な変化はありませんが、
スピーカーケーブルがベルデンからダイエイ30芯に変更されています。

両者の差はわずかですがわざわざ変更したのは、
ベルデンの古典的ケーブルの芯線の硬さとメッキがアンプNFB不安定に何らかの影響があるのではと疑ったためです。
結論は無関係でした。
両者ともにとてもよいスピーカーケーブルです。
音造りをしている「太い」スピーカーケーブルは値段も高くお金のムダだと思います。
さて、この時点でまず気になったのは(2)の高域の強調感でした。
チャンネルフィルターのアッテネーターの最適ポジションを探ろうと迷走が始まりました。

FAPS スピーカースタンド

◆チャンネルフィルターの調整

調整にあたって、テストCDにクロスオーバーぴったりの3.15KHzの正弦波トラックがあったので、
これでHiとLoのバランスを合わせマークしました。
チャネルフィルターの黄色のビニルテープがそれです。

この位置は、勘合わせで決めた当初のポジションより、意外にもHiが高い位置でした。
ボリュームの抵抗値を測って計算してみるとHi側−2dbとなります。
この位置だとコントラストがくっきりしますが、あのドンシャリ感がしっくり来ません。

ここから徐々にボリュームでHi側を絞っていきました。
確かに高音域のきつさは和らぐのですが、全体に活気が薄れていきます。
音全体のバランスも高域寄りで、ツイターのシャカシャカした音が気になり高域にうっすらと金属臭さが乗ってきます。
これをなくそうとさらに高域を絞ってもバランスが取れません。

1日置いて聴き直してみると、音がやせて活気がなく、中低域も薄目で重低音も不足します。
一時はアンプが壊れたかと頭を抱えました。
ふと思いついて、12時まで絞っていたボリュームを原点としてマークした4時の位置に戻しました。
あっと驚いたことに、中低域の厚みが戻り重低音が鳴るようになりました。やはり原点位置が最適点だったのです。

FAPS スピーカースタンド

◆スピーカーを上向きに

Hiを絞ると、高域寄りの中低域不足になる、というパラドックスに茫然自失でした。
チャンネルフィルターをいじるのはもうやめる、と決心しました。

では、高域のバランスをどうするか。そこで思い出したのが店主殿のアドバイスです。

スピーカーを上向きにしてツイターの音が頭の上に抜けるような位置にするとよいことがある、というものです。
そこで前側のスパイク足を長くして上向きにセットし直しました。
このわずかな調整は非常に効果的でした。

浮き上がっていた高域が自然なものに落ち着き、かつ、中低域の厚みが充実してきました。
重低域も量感が安定し音色もより明瞭です。
迷走時の音とは大きな違いです。

コープランド「市民のためのファンファーレ」には超ド級のグランカッサが入っています。
この迫力が俄然レベルアップしたのはサイドプレス効果ですが、上向き調整でさらに押し出しが強くなり、
下からわき上がるような重低音に思わず飛び上がりました。
音がかぶらずティンパニなど他の打楽器の音も聞こえます。
超低音にも本来はこれだけ豊かな色彩があるのです。

◆最終セッティング

最終的には、前側を20mmげています。
前上げ過ぎかと思い、10mm15mm戻してみたところ高域がきつ過ぎます。

ナマ演奏でもヴァイオリンパートの最強奏は耳にきついくらいで、ナマを聞かない人のセッティングはBGM風の甘い音になりがち。
ここのバランスは難しいところです。
最終的にはアランフェス協奏曲第2楽章の最後でヴァイオリンパートが例のテーマを力いっぱい弾ききる部分で結論を出しました。
また、この楽章冒頭のギターとオーボエの二重奏でも20pの方が前後感が出てきます。

15pでもオーボエ位置の奥行きが不足で前のギターソロと団子になります。
この辺りもツイターのバランスが効いているようです。

ツイターとウーファーの前後位置の微調整という意味合いもあるかもしれません。
スピーカーの内振りも最終的にはゼロとしました。
リスニング位置から見ると両スピーカーにそっぽを向かれているようで不安なのですが、
この方がかえって音場が広く、ロ短調ミサ「キリエ(主よ憐れみたまえ)」では、スピーカーの外側にまで音像が拡がります。
上記の前後感の試聴も内振りゼロで行いました。

FAPS スピーカースタンド

(参考:主な試聴ディスク)

Mozart:Flute Concertほか 小澤征爾指揮水戸室内管弦楽団 SONYclassical
Viva! Rodrigo Kaori Muraji DECCA
A Copland: fanfare for the common man Eiji Oue Minnesota Orchestra REFERENCE RECORDINGS
J.S.Bach: Messe en si minerur BWV232 ヘレベッヘ指揮コレギウムボカーレ harmonia mundi
J. Sibelius: Symphony No.7 ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団 D.Grammophon
GONTITI recommends GONTITI ゴンチチ EPIC
GREEN SLEEVES 伊藤潮トリオ WOODY CREEK


◆まとめと今後の課題

(まとめ)

電気的な最適点はただひとつ。あれこれ電気回路をいじることには限界があります。
また、高域は中低域に大きく影響します。

N805の上向き角度(仰角)はバランス調整の大きな要素でした。
その点、通常のスタンドでは難しい高さや仰角調整が容易なのはサイドプレスの利点のひとつに数えてよいでしょう。

上向きにすることで床面距離を擬似的に広くとれる効果があるようです。低域がより改善されます。
内振りはやらない方がよい。上述のようにサイドプレスはハンドリングが容易なので自分でこまめに試してみるとよい。

(課題)

まとめに述べたように上向きセッティングの効果のひとつは
ラック上面との距離を仰角によって擬似的に拡げることにあるような気がします。

間違っているかもしれませんが、
サイドプレスの原理は、底面からの反発抵抗や床面からの反射音を排除し
ウーファーの振動がロスすることなく空気中に放射されることにある、と考えるようになりました。

ミニでも、床面からの距離をもっと稼げば標準の音に近づくかもしれません。
ですからスターウォーズ「ロボット脚」には大いに興味があります。
HPにあったオプション品販売のあかつきには是非教えてください。

冒頭に上げた課題(3)の側面押し座位置は、今は自然体にしています。
ただ、800シリーズはご承知のように見事な内桁が入っていて、
今の押し座位置はN805の内桁と内桁のちょうど真ん中あたりになっています。

これを内桁にちょうど当たる高さに押し座位置を持ってきたらどうなるか。
振動の結節点であり強度の高い部分に当ててみたい気がします。

また、800シリーズは側面が曲面なので当てる位置の制約が多いのが残念です。
曲面にも適応できるように押し座の機構に何か改良点はないでしょうか。
思いつきですが、丸型でなく曲面をつけた水平の短冊型などはどうでしょうか。

標準サイドプレスのようにT字部の奥行きを延長し、台座とN805とをボルト直結できるようにならないでしょうか。
ますます805専用特注化しますが、効果次第では魅力的です。

上記の押し座位置の調整上ももう少し台座長さのレンジがほしい気がします。


 

セカンドレポートに対するFAPS感想等です。

セカンドレポート、拝読させていただきました。
前にもまして詳細なレポートをお送り頂き、ありがとうございました。

セッティングの僅かな調整で音質が大きく変化することに驚かれたことと思います。
自重受け座部分のチューニングも意外と効果的のようです。
機会があればお試しになってはいかがでしょうか。

課題については・・・

スパイク延長用のボルトセットを販売開始しました。
たかがボルトなのですが、これも材質による影響が大きく、
結局スタンド付属のボルト類と同一仕様のものを使うことで一応の解決をみました。
ホームセンター等で売っているボルトでも十分使えると思いますが、よろしければご利用ください。

T字部の奥行きを延長については、特注を受けた際にどうしようか悩みましたが、
置き場所の自由度をあげることと、
この部分は、削り出しで製作しているため、コストを抑えるために標準ミニ部品を流用しました。
ここまで特注(一品製作)すると、標準型をあまり変わらない価格になってしまうのです。

ボルト直結は、スピーカーの癖が大きく出てしまうため、必ずしもお勧めできないこともあります。

試聴室でも805は、ボルト直結とせずにノーマルセッティングまたは球形受けで使用しています。
ミニでは実際に試したわけではないので、機会があれば、長さを延長したものを製作して試してみます。
良い結果が出た時は、お知らせします。

805のような曲面部分への問題は、当方としても以前からの課題にして、試行していますが、
製品安全上も物理的に最も安定している部分を利用したいということ、
量産化ということも含め、なかなか思ったようにはいかないのが現実です。

非常に極端なニーズもあり、年中悩んでいるといったところです。
今は、タンノイのオートグラフミニで悩んでいます。3角形の頂点しか押す場所がないという難物です。

どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。

    

3’rd レポート

セカンドレポートを頂いてから約3か月後、システムも落ち着いてきたとのことで第3回目のレポートを頂戴いたしました。
今回は、スパイク部延長ボルトセットの使用結果のご報告です。

サイドプレス・ミニ 試聴レポート
(延長脚の導入)



サイドプレスを導入したときの低音域の改善は劇的でした。
ですから、今回、延長脚に変えるとさらに低音のボリューム感が増えるかと期待しました。

予想に反して、あまり変わりません。
どちらかというと低音の押し出しのよさがかえって弱まったような…。

FAPS スピーカースタンド
fig.1 システム全景

そもそもサイドプレスに替えたとたんの低音のボリュームアップは、共振共鳴による不明瞭なものではなく、
音程、リズムがはっきりと聴き取れるタイトな低音でした。
アコースティックベースがオクターブ上がってエレキベースの音になってしまうようなことがありません。

ピックアップマイクかアコースティックマイクかの差も歴然と聴き取れます。
クラシックの場合は、コントラバス独立か、あるいはチェロとのユニゾンか、の違いもはっきりと聞き分けられます。
あくまでも自然でリアルな低音で、楽器の音色の違いまでがわかるのです。

延長脚では、量感ではなくその質感での向上がありました。

FAPS スピーカースタンド
fig.2 延長脚

ベースのハーモニクスの色彩がより豊かになり音がさらに沈み込むようになりました。
脚が伸びてスピーカーの位置が高くなっても、聞こえる音の位置がほとんど変わらないのも不思議です。
効果は、量より質、ということです。
音の色彩の階調が増えたのは中高域でも同じです。

劇的だったのは定位感です。
いわゆる「スピーカーが消える」が実現しました。

もともと定位感に優れた小型モニターN805のよさは、サイドプレスミニ導入で俄然発揮されました。
立体感とか空間の雰囲気が表現できるようになったからです。
延長脚にすると、左右の定位だけでなく前後にも定位するようになったのです。

奥行きは、マルチマイクで音量バランスやアンビエンスをコントロールすることでモノーラルでも表現できるものです。
今回はそういう「雰囲気」をはるかに超えて三次元で点定位する「立体空間」が現出したのです。

スピーカーとは全く別のところから音が鳴っているように聞こえるのです。
小オーケストラでは、スピーカー背面の壁のさらに向こう側にメンバーが並んでいるように聞こえ、
「スピーカーから音が出ていない?!」という錯覚に陥りました。

以下は、あくまでも個人的なシロウトの推論です。

サイドプレスが音響的に優れていることの理由のひとつは、底部が開放されていることだと思います。
底部から支える通常のスタンドのように音を押さえ込んでしまうことがありません。

底部を開放したとしてもここから音が放射されているので、下面の床への反射によるエネルギー吸収や反射波との干渉も生じます。
ちょうどフロアー型のスピーカーが前の床面の反射で影響を受けるのと同じです。
このことは、床面から離せば離すほど音がはつらつとしてきて豊かになることでわかります。

ですからミニの場合は、原理的にラック天板との距離がないことがハンディになっています。
延長脚で音質が向上することも、スピーカーをやや上向きに仰角をつけてセッティングするほうがよいのも、同じ原理だと思います。

スピーカーの音波は、近傍での反射を避けロスをできるだけ少なくして、空気中に目一杯広く放散させるべきなのです。

仰角の調整は、一番大きな悩みだった高音のきつさの調整に一役買いました。


ツイターの音が頭上を越えることで必要以上の刺激が和らぎます。
その分、定位感の焦点と音のくま取りが薄らぎます。
それで、奥行きと遠近感には最適点があるようです。

雰囲気をとるかvsリアルな実在感やくま取りを強調するか、奥まった音かvs前にでる音か、
こうした音のバランス合わせは大事になってきます。

ただ、延長脚でスピーカー位置が高くなったせいか、仰角の最適値が変わってしまいました。
延長に際して、サイドの押さえ位置をずらしスピーカー高さをあげ、
脚ボルトで仰角をつけていたのを受け座位置で調整するように変更しました。

延長後しばらく仰角は以前の角度のままにしていました。

FAPS スピーカースタンド
fig.3 当初の仰角設定

気になりだして、ワインのコルク栓を輪切りにしたものを受け座に入れて角度を変えて比較試聴しました。

FAPS スピーカースタンド
fig.4 受け座にコルクを入れて仰角を調整

切り替えが瞬間的にできるので差がよくわかりました。
なお、スピーカー同士の間隔(1,500mm)、内振りゼロは変えていません。

過ぎたるは…でした。
試聴結果、仰角を抑えました。焦点が変わっていたのです。
変更すると、「スピーカーが消える」CDが増えました。

FAPS スピーカースタンド
fig.5 最終的な仰角設定 前位置は天板ぎりぎり


同じCDでも、眼前のステージの奥行きが学校の講堂から本格的なオペラハウスほどにまで違ってきます。

「高音のきつさ」についてもあまりツイターの高域を抑えすぎると、
ウーファーに入り込んでいるクロスオーバー部分の高音と、基音、共鳴音、弓の擦れる摩擦音などの雑音が目立ってくるので、
かえって音が堅くなりギスギスした高音になってしまいます。
やはり適度な超高域への抜けと輝きや艶も必要です。

こうした調整は、アンプやチャネルデバイダーなどで電気的にいじるよりは
スピーカーのセッティングのほうがより本質的だと思うようになりました。

とうとうチャンデバのアッテネーターは、ボリュームを外し音のよい抵抗で固定してしまいました。

調整が決まり、ぴたりと焦点が合うと、全くリスニングポイントを選びません。

セットを置いてある部屋は、リビング、ダイニング、キッチンが一体となっているL字型の変形部屋で
およそ専用のリスニングルームとはほど遠いものです。

ところがスピーカー正面からかなりはずれたダイニングテーブルからでも、
ソフトによってはホログラフィックな音像がくっきりと見えます。

特に、5.1chサラウンドとのハイブリッドSACDは2チャンネルトラックであっても見事な立体音像が現出しました。

FAPS スピーカースタンド
fig.6 ダイニングテーブルから眺めたシステム
(こんな位置でもスピーカーの存在を意識させない素晴らしい立体感)

すなわち最適解は、リスナーとの位置関係で決まるのではなく部屋の音響条件で決まるということのようです。

仰角(あるいは俯角)は顔に向けるため、というより床、天井、壁隅との距離や向きに関係するのかもしれません。
よくリスニングルーム診断などの記事があって定在波などを測定し、天井や壁の形をどうしろとかのアドバイスがされます。

全く逆ではないでしょうか。

プロのソリストはホールごとに音響的に最適な立ち位置をリハーサルなどで事前に探して決めます。
セッティングの調整もこれと全く同じです。

サイドプレスは、優れた音響効果ばかりでなく、セッティングの柔軟性が高いことが特長といえます。

チューニングをしようとするときに本当に手がかかりません。
スピーカーと一体のまま動かせるので、場所、スピーカー同志の間隔などの調整が簡単だし、
高さや仰角の調整までできるのは、ほかのスタンドには真似ることの出来ない芸当です。

しかもセッティングのちょっとしたチューニングは想像以上に効果が大きいこともわかりました。

アマチュアは、EQやケーブル、電源などの高額なアクセサリーに不用意に手をだす前に、
こうしたセッティングをまずしっかり追求しておくべきでしょう。お金の節約にもなります。

それを教えてくれたのがサイドプレスでした。


まとめ

・サイドプレスミニは優れた音響効果ばかりでなくセッティングが柔軟でチューニングが容易

・サイドプレスミニは、標準型に比べてコンソールやラックの天板との距離が近いのがハンディ

・このハンディ差を縮めるために延長脚は効果的

・仰角をつけて上向きにセットすることもハンディ克服のためによい

・仰角をつけると、
  
高音の刺激 ↓ (和らぐ)
  
定位の焦点 ↓ (焦点が薄らぐ ソフトフォーカス)
  
奥行き   ↑↓ (最初は奥行きが増すが、最適点を過ぎると逆に遠近感がとらえにくくなる)

  実在感   ↓ (くま取りが薄くなる ソフトフォーカス)

・スピーカーの間隔は、ニアフィールドモニターはあまり拡げず、1,500mm程度が最適。

 内振りもゼロがよい。

 ただし、スピーカーの特性や部屋の音響、通常の聴取位置にもよる。
最適解を求めてこまめに調整するのがよい。

・いったん焦点が合うとリスニングポイントを選ばない

最適なセッティングは部屋の音響的条件によって決まるようだ

 

3’rdレポートに対するFAPS感想等です。

もう何も言うことはない・・・・

そんな次元に落ち着いたと感じました。

種々のセッティングに関する深い読みも非常に的を得たものと感じています。

セッティングの重要性

これは機会がある度に申し上げているのですが、中々ご理解いただけないのが実情です。
各種アクセサリーにお金をかける前に、
ちょっと汗を流してスピーカーのセッティングを直して!と叫びたいほどです。

その辺の重要性を感じていただけたこと、大変嬉しく思っています。
音楽のある生活をたっぷりとエンジョイしてください。

ありがとうございました。